観察力から生まれるもの
2016年11月7日
介護職は慣れるにしたがい、介護することから学ばされることが多くなります。高齢者にはその人なりの生き方があり、その人の存在はかけがえのない尊厳あるものということです。
動けない人や話せない人・自分の意思を伝えることが困難な人に接していると、ついその人の尊厳を忘れがちになってしまいます。人が人と向き合う仕事なので、なんといっても信頼関係が大切です。「してあげている」という思いが沸き上がると、それが上下関係に繋がってしまいます。これではいい信頼関係を作れず、まともな仕事ができません。
介護職の基本は、観察力を養うことにあります。いつもと変わりないことでも、常によく観察することにあるのです。何気なく見ていているのでは、何がどのように変わったのか分かりません。観察ポイントを頭におき、それを見ようとする力を日々の中で養っていきましょう。仕事にやりがいを感じるのは、この観察力から生まれてくることが多いのです。例えば、本人が食べているといっても、栄養が足りていないこともあります。また、お風呂は嫌いだといっても、介護してくれる手がないので入るのを我慢していることもあります。言葉でどう表現されているかということよりも、生活全体をみて援助が必要なことを見極める能力が問われるのです。
言葉にならないことを援助した時、高齢者から「ありがとう」の言葉を聞くと、介護職へのやりがいを心から感じることができるでしょう。